- トップページ
- 令和7年のトピックス
- おせち〜石川県の伝統工芸品〜
トピックス
トピックスの詳細
おせち〜石川県の伝統工芸品〜
正月の三ヶ日に食べる「おせち料理」は、年神様に供えるための供物料理であるとともに「家族の繁栄を願う縁起の良い家庭料理」でもあります。
おせちは「めでたい」とされる日持ちのする食材で作り、家族が食べる他に、年賀に来るお客様にも出せるようにと、重箱に詰められます。
「おせち」は元々、季節の変わり目の節句に、年神様に供えるための料理でした。
それがやがて、年に5回ある節句のなかでも正月が最も重要であることから、大晦日の年越しのときに食べられるようになり、正月料理に限定されるようになりました。
おせちといえば、石川県では昔から重箱に輪島塗が使われています。
華々しい正月を迎えるのに相応しく、優美で奥行きのある深い色とつやが、おせちの特別感を引き立たせます。
輪島塗は、神事にも深く関わっており、能登に伝わる農耕儀礼「あえのこと」では、田の神を家に招いて、料理をもてなす為に神具として輪島塗の漆器を使います。神さまに料理を勧める時は「朱色」、人々がそのお下がりをいただく時には「黒色」の漆器を使うといいます。
令和6年元旦の能登半島地震により、ほとんどの輪島塗工房が深刻な被害を受け、苦境に立たされています。伝統工芸品の輪島塗を守っていくために、国や県をあげて復興に向け手を携えていかなければなりません。
おせちの重箱や神事に輪島塗が使われているように、昔から食と工芸品には密接な繋がりがあります。
芸術家・北大路魯山人が残した有名な言葉に「器は料理を供すのに欠かせないものである。料理の味や香り、盛り付けなどを引き立てる器は、料理の魅力を引き出し、鮮やかに彩る服のようなものである。」とあります。
そしてこの先も、この伝統文化が子の世代・孫の世代へと繋がっていき、家族皆楽しくおせちを囲み正月を迎えたいものであります。