
神道講話442号「神奈備山・神山・神体山のご神域を汚すな」
◆ はじめに
山登りは全て自己責任であります。その為に遭難や怪我・事故などに遭わないために、必ず防寒着・雨具等必要なものは自分で装備しなければなりません。
荷物が重いからといって自分の荷物を他人にもってもらう行為は、自殺行為と言わねばならない程、やってはいけない行動であります。
登山のマナーやルールを守らないと思いもよらないことが起こり、自衛隊や警察・消防などに遭難救助を要請する事柄となり、費用が掛かります。
山には、当然ながらコンビニがあるような環境ではありません。「自分の命は自分で守る」ために、自分でしっかりとした登山計画のもと行動することが大切であります。
◆ インバウンド対応
近年、日本を訪れるインバウンドの増加により、あちこちで外国人旅行者のマナー違反による観光公害が不安視されているように、白山の御山でも弾丸登山やマナー違反による環境破壊につながるような行動が増えてきていることに危惧しています。
そのような事から霊峰白山の地権者として環境省白山自然保護管事務所、石川県生活環境部自然環境課、白山自然保護センター所長、(一財)白山観光協会様宛に「白山国立公園内白山咩盗_社又管理地に於いてインバウンドによる環境破壊への注意喚起としての要望書」を提出しました。
◯ゴミの持ち帰り(ゴミ袋の配布)
◯山から持ち帰ったゴミを集めて処理する集積場の造成(別当出合、市の瀬等)
理由として
① 家、外国までは持って帰らない
② 過去に協会の弁当ガラが金沢駅のゴミ箱に多く捨てられた
◯登山の事故は自己責任
◯奥宮境内地のキャパシティーは狭いので入場制限を
以下のような要望であります。
登山客のマナーで最も深刻な問題は、ゴミと汚染の増加です。登山道に心なく捨てたゴミは、自然環境に対する直接的な脅威となり、野生動物のエサとなり、高山植物にも影響を及ぼします。
この問題に対しては、外国人のゴミの常識が我々にとって非常識と捉えるのではなく、日本国内の自治体によってごみの種類や袋、出し方などルールの違うように、県・市・町のルールをしっかりと伝えることが必要であります。
また、国内のアミューズメント施設や大規模イベントの際、ゴミが落ちていないのは、その役目を担った従業員がいるからであり、山の環境においてもこまめにゴミを拾う環境を整える工夫が不可欠であります。
◆ 白山奥宮勤務と山の実情
7月1日から8月31日の夏山期間は、神職、舞女数名奥宮社務所にて常駐し、登拝者を迎えています。
奥宮の生活は、日の出の1時間前に天候状況を確認し、神職が登頂する太鼓の合図を鳴らし、頂上までの道のりを約30分かけて登り、到着後眼下に広がる雲海や聳えたる山々を眺めながら、お日の出を待つ間、歴史・信仰・自然を説明します。
そして御来光を拝した後、登拝者と共に万歳三昌をし、奥宮で日供祭を執り行っています。(気温は5度〜10度)
白山室堂宿泊者数も、昨年度は約1万3千人を数え、特にアジア系の外国人宿泊者も増えてきています。
登拝者の推移や気温温暖化の変化により、高山帯での笹やオオバコ、スズメノカタビラなどの外来植物の進出、ニホンジカ、ツキノワグマの侵入など霊山の生態系が脅かされていることも各機関から報告されている通りであります。
◆ 三霊山サミット
去る4月18日の午後2時、石川県主催の三霊山サミットにて、馳浩石川県知事、新田八朗富山県知事、鈴木康友静岡県知事が当社を訪れ、神楽「剣の舞」の観賞、宝物館を視察されました。
また、白山市が取り組む自然を保全しながら教育や地域振興に活用する白山手取川ジオパークの活動においても三知事は理解を深めました。
各三霊山の特徴を生かし、観光の目玉となる企画開発がなされることを期待しています。
◆ むすび
今シーズンの白山室堂・白山雷鳥荘の宿泊予約受付が4月1日より開始されています。今年はすでに台湾人をはじめ、外国の方々からの予約が入り、例年よりインバウンドの予約状況が多いとのことです。
昨年開催した日本三霊山の意見交換会において富士山本宮浅間大社・雄山神社峰本社の各宮司と共にご神域の護持の重要性を確認したところであります。
登拝者を受け入れるために様々な問題がありますが、自然の移ろいは毎年同じように巡ってまいります。
一つ一つ解決をしながらこの美しい霊峰白山のご神域を守っていきましょう。
そして、大自然の息吹きと恵みに感謝して、今年も白山登拝を楽しみましょう。